passing through the resonating night

在るだけの自己に、在るだけの日々。

日本選手権2018調整録 スタン編

出発は私が赤黒をまるで使いたいと思わなかったことでした。

そこで色んな非赤デッキを試しました。エスパーコントロール、青黒ミッドレンジ、青単ストーム、緑単、果ては青単フライングまで。

それでもゴブリンの鎖回しは疑いようもなく強力で環境を定義しうる一枚でした。対策するより使った方がいいと結論づけました。

私は禁止を望みました。しかし禁止には至りませんでした。

そこで赤を使うことになるわけです。

しかし私はたかり屋を使いたくなかった。あれはキランがいない限り本当に弱いカードです。土地基盤にサイクリングランド4枚と沼1枚を入れることも嫌いました。そして実際使っていても勝ち続けられると思いませんでした。

ケルドレッドもまた嫌でした。デッキの土地が21枚なのにハゾレトをサイドに3枚入れ、魔術師の稲妻のために1マナ1/2を4積みすることは許せないことでした。

環境にあるどのデッキを使ってもピンとこない。楽しくないのです。青単ストームだけは楽しいし少しは勝てたので諦めてこれにしようかなとも思いました。

しかしオールドスクールなふた昔ほど前の純正赤単に回帰してみたところ、これが本当に楽しくて。山22,3枚のマナベースでボーマットやケンラ、アン一門を走らせ、ハゾレトを叩きつける。それらは当然のように4積みされている。フェニックスなんかも、メインには必要ないのです。

私はこの時をずっと待っていたのかもしれないと思いました。一番好きなデッキを使えるこの時を。

だからマジックを始めたカラデシュと霊気紛争期から一番好きだったあるカードを採用することに決めました。

それは赤単の弱点を克服し、相手の虚をつき、マジックに夢中になるきっかけをくれたカード。

「暴力の激励」。

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初期デッキリスト(晴れる屋スタンダード神トライアル優勝)

Main Deck 60
22 Mountain
4 Ahn-Crop Crasher
4 Bomat Courier
4 Earthshaker Khenra
3 Goblin Chainwhirler
2 Harsh Mentor
3 Hazoret the Fervent
2 Kari Zev, Skyship Raider
4 Soul-Scar Mage
4 Invigorated Rampage
4 Lightning Strike
4 Shock

Sideboard 15
1 Scavenger Grounds
4 Abrade
4 Chandra's Defeat
3 Kari Zev's Expertise
1 Aethersphere Harvester
2 Chandra, Torch of Defiance

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流石に好きなカード詰めこみ過ぎました(笑)。

過酷な指導者とかゼヴ巧技とか入れてますし、なんなら暴力の激励はメイン4積みです。

しかしこれでもそれなりに勝て、なんとスタン神トライアルを優勝!

当初はリーグでも3-2がほとんどでたまに4-1と言った具合でなかなかの感触。

ただ、メタゲームに緑が増え始め思うように勝てなくなってきました。

赤黒にもサイド後は苦戦するので中々打開策が見出せずにいました。

やっぱりフェニックスは必要か……

しかしメタゲームに再びコントロールが現れ始め、メインにフェニックスを入れることに不安が残ります。

やはりメインの完成度は高く、これで大丈夫だと。

ここでふと、サイドからでもいいんじゃね?と思うようになり、メインは早く時にサイドで重くする赤単を考えるようになりました。

最終的に、日本選手権には以下の構成で挑むことになりました。

Mono Red Aggro(環境名人戦スタンダードラウンド全勝、日本選手権スタンダードラウンド)

Main Deck 60
23 Mountain
4 Ahn-Crop Crasher
4 Bomat Courier
4 Earthshaker Khenra
4 Goblin Chainwhirler
4 Hazoret the Fervent
2 Kari Zev, Skyship Raider
4 Soul-Scar Mage
2 Invigorated Rampage
4 Lightning Strike
4 Shock
1 Chandra,Torch of Defiance

Sideboard 15
1 Mountain
3 Abrade
3 Rekinding Phoenix
3 Chandra's Defeat
3 Banefire
1 Aethersphere Harvester
1 Chandra, Torch of Defiance

さて、デッキをチューンするにあたり、なぜこのデッキが勝てたのかについて考察することにしました。

簡潔に言えば、「事故が少ないにも関わらず強いブン回りがあり、なおかつそれが環境最大勢力の現在の赤黒の構成に対し明確に有利だったから」と結論づけられます。

事故が少ない。これは山のみの最強のマナベースに加え、3マナあればデッキが回り4積みされたケンラハゾレトのおかげでマナフラにも強いという特徴を持つからです。

赤単のブン回りの特徴として3〜5tでのダブルアクションや優秀な3マナクリーチャー、あるいはその両方により早さで圧倒する点がありますが、ここで多少マナフラして回れなかった状況を許容できるハゾレトケンラがいるわけです。どのような状況でも平均して強くブン回りもあるというのは私が求めているデッキへの理想の一つでした。

あるトッププレイヤーはKLD-M19スタンを、事故りやすく、しかもその時に弱いというリスクを取らなければデッキの地力が担保できない環境だと分析しました。そのリスクを取り赤黒やエスパー、ケルドレッドを使うか、やめて安定するが地力が低い青黒ミッドレンジを使うか、という選択を迫られると。

ここに私はケルドではなく、しかもたかり屋を採用せずケンラを使う早い純正赤単を採用する理由があると思います。

いわば、環境のソリューションであると判断したわけです。

さて、もう一つ問題が残ります。何故暴力の激励が刺さるのか?

一言で言えば「わからん殺し」です。スタンにはバットリが顕在的防御ぐらいしかないという固定観念を逆手に取った作戦でした。(もちろん当初からそんなこと考えているはずもなくただ好きで使っていたのですが)

これが予想外に効き、相手のダメージ計算とブロックをミスさせ、時に簡単にゲームを拾うことができます。

しかも同時にモードが二つありトランプルまで付与できる強化スペルは、時に赤系が苦手とするタフ4以上をブチ抜きながらダメージまで与えられるといういぶし銀の活躍を見せます。緑単なんかにもあと一押しが出来るようになった訳です。

メンターやカーリゼヴ巧技は最終的には解雇することになりましたが、このスペルは前述したデッキの特徴にとても合いますし、量は減らせど間違いなくこのデッキの主役だと思っています。

最後にサイドについて。基本的に抜くカードとの兼ね合いで決めました。

削剥やチャンドラの敗北はもういいでしょう。定番ですね。

PWチャンドラは75枚の中に2枚入れたいと思っていたところ、メイン1サイド1が一番しっくりきたので散らすことに。

緑単に更に有利にし、赤黒にも強いフェニックスを3枚取ったのが真新しい点でしょうか。サイドのみに見るクリーチャーではあまりないですからね。そのため追加の山も取ってます。

また嘲笑+負傷の不採用、その分3枚と厚めに取られた苦悩火もポイントです。

ターボフォグ対策を切った訳ではありません。むしろ意識した結果です。

ターボフォグはサイド後の嘲笑+負傷に対し残骸の漂着や打ち消しという明確な回答を持っています。ほぼ専用サイドを1~2枚採用して、やっと引けても無力化されるようでは意味がないと思いました。このデッキに対してあちらが耐えるとしたらライフ5ぐらいなので、それならコントロールにも入れられるので数が積める苦悩火の方が打ち消されないし良いだろうと思いました。むしろターボフォグ側は赤いデッキは嘲笑+負傷を持っているという前提で動いてくれるのでやりやすいです。

こんな感じで14枚まで決まったところでサイドプランとの兼ね合いで、青黒ミッドレンジやケルド用のカードが欲しかったので収集艇をピン刺しすることにしました。

これでデッキ完成!かなり綺麗にまとめることができたと思います。

前哨戦である環境名人戦では赤黒を使ってきたプロプレイヤー含め全勝することが出来たのでかなり自信につながりました。(ドラフトは全敗🤣)

本番へと続きます